映画 GATE

原子爆弾の兵器実用例、それは日本が世界で唯一経験していることだった。原爆投下による1945年8月6日に広島、1945年8月9日に長崎に投下され、多くの人が死亡した。戦争の傷跡としては大きく、日本を疲弊させるには十分すぎる威力であった。投下された後に残ったのは無常も何もない、ただ無しかなかった。あの日の惨劇を忘れてはいけない、その思いから一本の映画が製作されました。

映画GATE

原爆投下が確認されてから60年もの時間が経った2005年、日本のとある禅僧が原爆を使用されたことを決して世界中で忘れてはいけないとして、アメリカはサンフランシスコから原子爆弾の開発が行われたアメリカ・ニューメキシコのトリニティシティへと、約2,500kmにも及ぶ行脚をするドキュメンタリー映画となっている。旅の道中にはアメリカンインディアン、様々な宗派の平和団体などの随員も兼ねて砂漠と山を越え、250以上もの街を越えて行く、ただひたすら平和を訴えるために歩いていくだけのストーリーとなっている。僧侶の一人にはこのたびをやる遂げるための目的となる一つのランタン、その中で燃えている日は原爆が投下されて、そこで拾った火を実に51年間燃やし続けている種火から拾ったものだ。これを核実験が行なわれた場所で消すことで、長年続いている負の連鎖を断ち切るため、ただそのことを思いながら旅は続いていく。

負の連鎖とは核という存在が世界各地で現在でも増え続けているという事実に対してのことだ。核実験を行なったアメリカから、その後はソ連、中国、インド、パキスタン、さらには北朝鮮までもが核実験を行なうようになっていた。こんなことを続けていたら、いつかまた人は核兵器を用いて、多くの人の命を奪うことになる。そんなことになれば、この世界はどうなってしまうのだろうか。私自身もそんなことを考えたくはないが、絶対に使わないということは先ずありえないだろう。国同士のいざこざが広がれば広がるほど、戦争という戦いが始まる要因を生み出す。元々大量破壊兵器は、そういった攻撃行動を抑止するための性質を帯びている。だが一つ、発射ボタンを押してしまうものなら、もう全てがどうにもならない。そのボタン一つで、何十、何百万という命が一瞬の内に根こそぎ奪われることになる。そして撃たれた方は復讐と称して核兵器を、撃ってきたほうへと使用することになる。怨念・報復・恐怖、この連鎖を断ち切るためにはどうしたらいいのか、僧侶達は考えた。そこで考え出されたのは、現在までの兵器として初めて使用された日本・広島から60年以上燃え続けている『原爆の火』を、全ての始まりの値となっているニュートリノシティで消すことによって、全てが断ち切れるはずだと。仏教の輪廻転生、この考えに基づいて考え出された結果、始まりの地にて火を消すことで全ての連鎖は円となって消える、そう結論付けた。

彼らの決断はすぐに行動となって移され、2005年7月、長崎より出発した火は、僧侶達と共に船舶『日本丸』でサンフランシスコへと運ばれて、そこから全ての物語が始まるのであった。

これこそ、真なる意味でのドキュメンタリー映画といえるだろう。冒頭からほぼ終盤まで、僧侶達はただ黙々とひたすら歩いているだけの映画となっている。そんな一行の姿を胡散臭そうな目で見ている地元アメリカ市民も、初めのうちは関心などなかった。だが地元メディアなどの報道によって、彼らの行動が何を意味しているのかということを知ったとき、変化はきわめて早く、そして大きく広がっていくこととなる。一向に食べ物を差し出す人、自分も同じ思いとして一緒に行動を共にする人、わざわざ休暇をとって救急医用品を届けに行った保険所長、さらに放射能被害を受けていた実験場風下の住民達も、その平和への行進に加わっていくのだった。核兵器を使用することのない平和な世界、その思いは自分たちも同じだということを証明する瞬間に他ならない。皆、同じ思いであると証明するように一行は目的地へと前進するのだった。

そして辿りつく目的地

やがて目的地となるトリニティ核実験場にたどり着くことになる一行。当然のことながら、この場所は軍関係者では入域できない場所となっているが、それでも彼らは止まることをしなかった。誰もこんなところを好きで訪れようとしない場所に立ち入ってくる僧侶達を先頭にした集団に、施設にいた軍人達はたじろぐしかなかった。ゲートを固める衛兵達はこの集団に戸惑うことしかできず、上官の指揮に従おうと司令部へと電話するのだった。しかし司令部もこの事態に対応できず、その判断を上層部へと仰ごうと連絡するのだが、そこでも意見はまとまらず、挙句にはホワイトハウスに決断を委ねることになった。時の大統領、ジョージ・W・ブッシュに最終決定を任せることになったが、大統領でさえもこの事態に対しての決断は下すことができず、その全ての対応を現場指揮官に戻すということで、話を戻してしまうのだった。

これにより、現場にいた衛兵達は、温顔で近づいてくる、敵意の欠片もない僧侶達をごく自然の笑顔で迎え入れ、ゲートを開いて握手を交わした。この時、現場にいた軍人達がどのように感じていたのかは知らないが、それでも彼らが自分たちに対しての敵対意識をもっていないことは理解できたのだろう。時期的にイラク戦争が開幕している最中だったため、彼らの行動が何を意図しているものなのかということを知った上で迎え入れたのではないだろうか。誰だって戦いなど好んでいない、全てはただ、平和という安心な世界を作りたくて、銃を、そして核を使うのかもしれない。でもそれは間違いなのだと気づいているのだろう。それを心底分かっているからこそ、衛兵達は僧侶達を迎え入れたと思いたい。

世界核兵器解体基金とは

この映画を製作しているのは世界から核兵器を無くす為に設立された『世界核兵器解体基金』が主催となって製作している。映画監督は設立者でもある平和活動家の『マット・テイラー』その人である。団体の発足理由としては、『核兵器が元々私達の税金で作られたのなら、税金を納めている私たちがそれを買い戻すことが出来てもいいのではないか』、という疑問が2004年に各業界の人々の間で広まることになった。それは翌年形となって現れることになり、ニューヨークの国際連合で開かれた核拡散防止条約債権東海議会祭事に集合した活動的なNGO法人の間で、同盟を結束することになる。核兵器を解体することを理念にするこの団体は、やがてロシア連邦が核兵器解体の公的参加を許可する条約議定書の調印まで実現することになる、歴史的瞬間を生み出すことになるのであった。

世界核兵器解体基金、通称『GND Fund』はサンフランシスコ・モスクワ・東京のオフィスを拠点として、核兵器や、原子力潜水艦の解体への公的参加を積極的に執り行っている。またか痛い処理を関し・確認するだけでなく、解体した核兵器から取れる放射性のない金属をリサイクルしたアクセサリーなどの製品を世界中の市場に流通させることによって、そこから生まれた収益で、更なる核兵器解体へと繋げていこうとしている。現在までに参加している団体のディレクター達は以下の通りとなっている。

マット・テイラー(Matt Taylor )
映画『GATE』の監督でもあり、GNDFundの設立者でもある。アメリカと日本のマルチメディアプログラムの先駆者もであり、対話式の教育プログラムから、最先端のディレクトTVチャンネルなどを手掛けている。
マイルズ・コープランドIII(Miles Copeland III )
『Rock and Roll Hall of Fame(ロックの殿堂)』に受賞をするなどの功績を残している有名ポップミュージックプロデューサー。
セルゲイ・コレスニコフ博士(Sergei Kolesnikov MD, Professor )
核戦争防止国際医師会議ロシア共同社長、さらにはCIS諸国における核戦争防止国際医師会の副会長も務めている。
セルゲイ・V・グラチョフ博士(Sergei V. Gratchev MD, Professor)
病態生理学分野の著名的な学者。
金親 晋午(Shingo Kanaoya )
国際金融機関のメンバーとして長年活動をしている国際ビジネスのスペシャリスト。
パメラ・S・メイデル(Pamela S. Meidell
『アトミックミラー』のディレクターで、解体作業部会の会長を務めている。
スーザン・マクマーン(Susann McMahon)
様々な音楽番組にボランティアで参加している有名音楽プロデューサー。これまでに寄付してきた総額が実に150万ドル以上に及んでいる。
ローマン・ドルゴフ(Roman Dolgov, MA)
1992年より核戦争防止国際医師会議に参加して以降、国際プロジェクトのコーディネーターとしても活動中。

主題歌に関して

今作の主題歌となっている『GATE』は、2008年6月11日に着うたとして限定配信された。ボーカルは伊藤由奈だが、現在までに伊藤さんの本人のアルバム亜土にこの曲が収録されておらず、この歌を聴けるのは同映画作品の、公式ホームページや公開対象映画館のみで発売されていたOSTにのみ収録されているという、今では聴くことも難しい主題歌となっている。

今作の製作の経緯として、映画の題材に強く感動した日本の音楽家でもある小林武史氏が、監督のマット・テイラーの依頼を受けて製作したといわれています。バックのオーケストラにはミハイル・プレトニョフ率いるロシア・ナショナル管弦楽団を迎えて、『日本×アメリカ×ロシア』の夢のコラボレーションが成立した。

今楽曲におけるボーカリストの選考にはいくつかの条件があった。

  • 攻撃性のある男性の声ではなく、大きく包み込んでくれる母性を表現しているような歌声を持っている女性歌手
  • 英語が堪能であること

上記2つの条件を満たしている日本人歌手を探していた。日本が深く関わっていることもあって、日本人はもちろんのこと、世界でも広く見て欲しいという願いから楽曲も英語バージョンを歌えるような歌手が望ましかったからだ。そんな条件の中、日本人、そしてアメリカ人でもあった伊藤由奈さんが抜擢されて、楽曲『GATE』は完成するのだった。

スタッフ

  • 出演:マーティーン・シーン
  • 日本語ナレーション:松嶋奈々子
  • 監督:マット・テイラー
  • オリジナルスコア作曲:池 頼広
  • 演奏:Russian National Orchestra
  • 指揮:ミハイル・プレトニョフ
  • 製作総指揮:マット・テイラー・金親 晋午・アルバート・ロオヤカーズ
  • 広島原爆をテーマにした作品一覧

数万人の人が死亡することになった歴史上、最も忘れてはいけない広島原爆の事件を、忘れないためにもと、様々な媒体で広島原爆をテーマにした作品が誕生している。全ては紹介しきれないので、ここでは一部作品群を紹介していこう。

小説

  • 壺井栄 『石臼の歌』
  • 大田洋子 『屍の街』・『半人間』
  • 原民喜 『壊滅の序曲』・『夏の花』・『廃墟から』
  • 阿川弘之 『春の城』
  • 阿川弘之 『魔の遺産』
  • 堀田善衛 『審判』
  • 竹西寛子 『管絃祭』・『儀式』
  • 井上光晴 『地の群れ』
  • 高橋和巳 『憂鬱なる党派』
  • いいだもも 『アメリカの英雄』
  • 井伏鱒二 『黒い雨』
  • 福永武彦 『死の島』
  • 松谷みよ子 『ふたりのイーダ』
  • 大庭みな子 『浦島草』
  • 渡辺広士 『終末伝説』
  • 小田実 『HIROSHIMA』
  • 今西祐行 『あるハンノキの話』
  • 村上親康 『広島の白い空』
  • 井上雅博 『この空の下で』

絵本

  • 丸木俊 『ひろしまのピカ』
  • 那須正幹 『絵で読む広島の原爆』
  • 森本順子 『わたしのヒロシマ』
  • 児玉辰春 『まっ黒なおべんとう』
  • 児玉辰春 『よっちゃんのビー玉』
  • 児玉辰春 『伸ちゃんのさんりんしゃ』
  • 児玉辰春 『かえってきたつりがね』
  • 松谷みよ子 『ふたりのイーダ』
  • 松谷みよ子『まちんと』
  • 松谷みよ子『ミサコの被爆ピアノ』
  • 水田九八二郎 『原爆児童文学を読む』
  • 長崎源之助 『ひろしまのエノキ』
  • 岩崎京子 『原爆の火』ISBN 4406027533
  • 大道あや 『ヒロシマに原爆がおとされたとき』
  • 石倉欣二 『海をわたった折り鶴』
  • 指田和 『ヒロシマのいのちの水』
  • 指田和子 『ヒロシマのピアノ』
  • 管聖子 『シゲコ!ヒロシマから海をわたって』
  • 高橋昭博 『ヒロシマのおとうさん ヒロシマの心を子どもたちに』
  • まさきかずみ 『走れひばく電車』
  • 奥田貞子 『子どもの世界30 ケイコちゃん ごめんね』
  • 森本順子 『わたしのヒロシマ』
  • 深川宗俊 『ひろしまの子-愛のうた-』
  • 吉元直志郎 『むかえじぞう』

原爆絵本シリーズ

  • 四国五郎 1.『ヒロクンとエンコウさん』
  • 入野忠芳 2.『もえたじゃがいも』
  • 山下まさと 3.『原爆の少女ちどり』
  • 下村仁一 4.『とうちゃんの涙』
  • 白井史明 5.『ミヨちゃんの笛』
  • 山本美次 6.『金魚がきえた』
  • 金崎是 7.『天に焼かれる』

漫画

  • 谷川一彦 『星はみている』
  • 中沢啓治 『はだしのゲン』
  • 山岸凉子 『夏の寓話』
  • こうの史代 『夕凪の街 桜の国』
  • さすらいのカナブン 『原爆に遭った少女の話』

TVドキュメンタリー

  • 広島テレビ『チンチン電車と女学生 2003・夏・ヒロシマ』
  • NHK特集「夏服の少女たち ~広島・昭和20年8月6日
  • TBS「ヒロシマ ~あの時、原爆投下は止められた~」
  • ザ・ノンフィクション「康子のバラ~19歳、戦渦の日記~」
  • ハイビジョン特集「少女たちの日記帳 ヒロシマ昭和20年4月6日~8月6日」

TVドラマ

  • 『テレビ指定席・あしあと』
  • 『怪奇大作戦 死神の子守唄』
  • 『碑-いしぶみ-』
  • 『夏の光に…』
  • 『黒い雨 姪の結婚』
  • 『ふたたぴの街』
  • 『失われし時を求めて~ヒロシマの夢~』
  • 『リトルボーイ・リトルガール』
  • 『NHKスペシャル ドキュメンタリードラマ・マミーの顔が僕は好きだ~母と子のヒロシマ~』
  • 『土曜ドラマ・されど、わが愛』
  • 『ジ・エンド・オブ・パールハーバー HIROSHIMA~運命の日~』
  • 『ヒロシマ 原爆投下までの4か月』
  • 『広島 昭和20年8月6日』
  • 『はだしのゲン』

映画

  • 山田典吾 『はだしのゲン』
  • 関川秀雄 『ひろしま』
  • 今村昌平 『黒い雨』
  • 新藤兼人 『原爆の子』・『さくら隊散る』
  • 黒木和雄 『父と暮せば』
  • 吉田喜重 『鏡の女たち』
  • アラン・レネ 『二十四時間の情事』
  • 青木亮 『二重被爆』
  • 佐々部清 『夕凪の街 桜の国』
  • スティーブン・オカザキ 『ヒロシマナガサキ』
  • 吉村公三郎 『その夜は忘れない』

音楽

これを書いている私も知らなかったが、広島をテーマにしている音楽作品が数多く存在している。その数、実に1800曲といわれており、汐文社から出版されている『ヒロシマと音楽』で作品目録を見られるほか、広島平和記念資料館のデータベースでも曲を確認することができる。今回はその中でも一部抜粋して紹介していこう。

  • 作曲:ルイジ・ノーノ『生命と愛の歌』
  • 作曲:クシシュトフ・ペンデレツキ 『広島の犠牲者に捧げる哀歌』
  • 作曲:木下航二、作詩:浅田石二 『原爆をゆるすまじ』
  • 作曲:林光、作詩:原民喜 『原爆小景』
  • 作曲:森脇憲三、作詩:薄田純一郎 『レクイエム「碑」』
  • 作曲:遠藤雅夫、作詩:米田栄作ほか 『石の焔』
  • 作曲:新実徳英、作詩:峠三吉ほか 『祈りの虹』
  • 作曲:松下耕、作詩:鳥潟朋美 混声合唱組曲『風の夏』
  • 作曲:黒沢吉徳、作詩:栄谷温子 混声合唱曲『消えた八月』
  • 作曲・作詞:山本さとし 混声合唱曲『ヒロシマの有る国で』
  • 作詞・作曲・歌:野田淳子『ヒロシマ 花』
  • 作詞・作曲・歌:梅原司平『折り鶴』
  • 作詞・作曲・歌:浜田省吾『八月の歌』
  • 作詞・作曲:ZERRY(忌野清志郎)『LONG TIME AGO』
  • 作詞・作曲・歌:さだまさし『広島の空』
  • 作曲:大木正夫 交響曲第5番「ヒロシマ」
  • 作曲:芥川也寸志、脚本:大江健三郎 オペラ『ヒロシマのオルフェ』
  • 作曲:團伊玖磨、作詞:エドマンド・ブランデン 交響曲第6番「HIROSHIMA」
  • 作詞・作曲・歌 :石井竜也〔HIROSHIMA '05〕〔イノチノチカイ〕
  • 作曲:三枝成彰、作詞:米田栄作 混声合唱組曲『川よ とわに美しく』
  • 作曲:佐村河内守 交響曲第1番「HIROSHIMA」
  • 作曲:イングヴェイ・マルムスティーン、作詞:グラハム・ボネット 『Hiroshima Mon Amour』
  • 作曲:佐々木祐滋、作詞GODBREATH、歌 :佐々木祐滋『-INORI-』
  • 作曲:三枝成彰、「チェロの為のREQUIEMⅡ~hiroshima~」
  • 作曲:古屋さおり「原爆」2010年