原爆に対する方面の反応

被害調査 6日~10日

火の勢いがようやく収まりを見せた6日17時30分、ようやく市の被害調査を始めることができるようになり、翌7日までには熱線と爆風による被害、ならびに正確な爆心地を解析することに成功し、8日には大本営海軍部調査団と合同で『8月6日広島空襲被害状況報告書』にて、原爆の空中爆発による攻撃であると断定する。同日、帝国陸軍参謀本部第二部長の有末精三中将を団長とした大本営調査団9名が、陸軍軍医学校の教官とする陸軍省広島災害調査班と共に空路現地入りをする。

9日、陸軍省広島災害調査班が日本赤十字広島赤十字病院の地下室でレントゲンフィルムが全て感光していることを確認すると、直ちに陸軍軍医学校に放射線専門家の派遣を要請している。これを受けた陸軍軍医学校は、陸軍軍医学校レントゲン教官である御園生圭輔軍医及び理化学研究所の研究者玉木英彦研究員・村地孝一研究員・木村一治研究員らを派遣して、残留放射能測定や被爆者の血液検査などを行なった。この結果、途上からはストロンチウム92やセシウム137が大量に検出され、白血球の減少している被爆者が多いことが分かり、後に遺体病理解剖にて被爆者を蝕んだ放射線がα線、γ線、β線、中性子線であることが判明する。

10日10時、広島陸軍補給廠にて第2総軍や陸軍船舶練習部、及び海軍呉鎮守府等の軍関係者や目撃者を交えた陸海軍合同検討会を開催した結果、次のような事項を政府に公表する。

!さよなら原発!

八月六日広島空襲ニ対スル研究会議事概要

  • 二〇.八.一〇 呉工廠
  • 一、日時、場所 八月十日 於広島陸軍補給廠

四、判決

  • (イ) 弾種、通常ノ爆薬又ハ焼夷剤ニアラズ 原子爆弾又ハ威力之ト同等ノ特殊爆弾ナルモノト認ム
  • (ロ) 爆発位置 護国神社南方三〇〇米、高度五五〇米
  • (ハ) 爆圧、爆心地上ニ於テ六粁/平方糎程度ト推定スルモ 尚検討ヲ要ス
  • (ニ) 火傷原因 光線ノ影響ナルモ尚β線及X線ノ影響アルベシ、光線ノ持続時間ハ瞬間ニ非ザルモノノ如シ
  • (ホ) 火災ノ原因 熱線ニ依リ引火シ易キ物質(藁、黒幕等)発火シ火災ノ原因トナルコトアリ
  • (ヘ) 投弾法 必シモ落下傘ヲ伴ハズ

五、対策

(イ) 一般ニ達スベキモノ
  • (一) 警戒警報中ト雖モ敵機上空ニ近接ヲ知ラバ掩蓋アル屋外防空壕ニ退避スベシ
  • (二) 間ニ合ハザルモノハ遮蔽下ニ低キ姿勢トナルベシ、閃光後直チニ空地ニ飛ビ出スベシ
  • (三) 服装ハ露出部ヲナクシ、厚着ヲナシ白色ノ下着ヲ着スベシ
  • (四) 火傷薬ヲ所持セヨ
  • (五) 硝子窓ハ負傷ノ原因トナルヲ以テ撤去シ、日本建築等ハ半地下式ニ改造スルヲ可トス
(ロ) 軍関係対策
  • (一) 投下機ノ外観ノ特異点ハ不明ナリ。投下時急旋回セリ
  • (二) 基地飛行機は有蓋掩体若ハ地下ニ格納スベシ

8月7日 アメリカ政府の声明

日本時間の7日未明、アメリカ合衆国ワシントンD.C.のホワイトハウスにて、ハリー・S・トルーマン米大統領の名前で以下のような声明が発表されることになる。

声明内容

16時間前、アメリカの飛行機が日本軍の最重要陸軍基地・広島に一発の爆弾を投下した。この爆弾の威力はTNT2万トンを上回るものである。これまでの戦争の歴史において使用された最大の爆弾、イギリスのグランドスラム爆弾と比べても、2000倍の破壊力がある。(中略)つまり原子爆弾である。

ポツダムで7月26日に最後通告が出されたのは、日本国民を完全な破壊から救うためであった。日本の指導者たちは、この最後通告を即刻拒否した。もし彼らがアメリカの出している条件を受け入れないならば、これまで地球上に一度も実現したことのないような破壊の雨が降りかかるものと思わねばならない。】

この声明は呉鎮守府司令部、同盟通信川越支局も傍受していた。その後、8月9日10日朝に掛けては、原子爆弾投下に関するリーフレット『AB-11』が大阪・長崎・福岡・東京に投下され、その後ソ連参戦を記した新しい内容のリーフレット『AB-12』が10日に熊本・八幡・大牟田・横浜に投下される。内容に関しては以下の通りになっている。

AB-11

  • 即刻都市より退避せよ
  • 日本国民に告ぐ!!
  • このビラに書いてあることを注意して読みなさい。
  • 米国は今や何人もなし得なかつた極めて強力な爆薬を発明するに至つた。
  • 今回発明せられた原子爆弾は只その一箇を以てしても優にあの巨大なB-29二千機が一回に搭載し得た爆弾に匹敵する。
  • この恐るべき事実は諸君がよく考へなければならないことであり我等は誓つてこのことが絶対事実であることを保証するものである。
  • 我等は今や日本々土に対して此の武器を使用し始めた。
  • 若し諸君が尚疑があるならばこの原子爆弾が唯一箇広島に投下された際如何なる状態を惹起したか調べて御覧なさい。
  • この無益な戦争を長引かせてゐる軍事上の凡ゆる原動力を此の爆弾を以て破壊する前に我等は諸君が此の戦争を止めるよう陛下に請願することを望む。
  • 米国大統領は曩に名誉ある降伏に関する十三ヶ条の概略を諸君に述べた。
  • この条項を承認しより良い平和を愛好する新日本の建設を開始するよう我等は慫慂するものである。
  • 諸君は直ちに武力抵抗を中止すべく措置を講ぜねばならぬ。
  • 然らざれば我等は断乎この爆弾並びに其の他凡ゆる優秀なる武器を使用し戦争を迅速且強力に終結せしめるであらう。
  • “即刻都市より退避せよ”

AB-12

  • 日本国民に告ぐ!!
  • “即刻都市より退避せよ”
  • このビラに書いてあることは最も大切なことでありますから良く注意して読んで下さい。
  • 日本国民諸君は今や重大なる秋に直面してしまつたのである。
  • 軍部首脳部の連中が三国共同宣言の十三ヶ条よりなる寛大なる条項を以て此の無益な戦争を止めるべく機会を与へられたのであるが軍部は是を無視した。
  • そのためにソ聯は日本に対して宣戦を布告したのである。
  • 亦米国は今や何人もなし得なかつた恐しい原子爆弾を発明し之を使用するに至つた。
  • 之原子爆弾はたゞ一箇だけであの巨大なB-29二千機が一回に投下する爆弾に匹敵する。
  • この恐るべき事実は諸君が広島に唯一箇だけ投下された際、如何なる状態を惹起したかはそれを見れば判るはずである。
  • 此の無益な戦争を長引かせてゐる軍事上の凡てを此の恐るべき原子爆弾を以て破壊する。
  • 米国は此の原子爆弾が多く使用されないうち諸君が此の戦争を止めるよう天皇陛下に請願される事を望むものである。
  • 米国大統領は曩に諸君に対して述べた十三ヶ条よりなる寛大なる条項を速やかに承諾し、より良い平和を愛好する新日本の建設をなすよう米国は慫慂するものである。
  • 随つて日本国民諸君は直ちに武力抵抗を中止すべきである。
  • 然らざれば米国は断乎この原子爆弾並に、其他凡ゆる優秀なる武器を使用しこの戦争を迅速且強制的に終結せしむるであらう。
  • “即刻都市より退避せよ”
NO NUKES!!!!

日本のアメリカ政府に対しての抗議声明

8月10日、アメリカのこうした声明を受けて日本も黙ってはいなかった。日本はスイス政府を通じて、アメリカ政府に以下のような抗議文を出している。

日本が出した抗議文

本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し瞬時にして多数の市民を殺傷し同市の大半を潰滅せしめたり広島市は何ら特殊の軍事的防備乃至施設を施し居らざる普通の一地方都市にして同市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非らず、

本件爆撃に関する声明において米国大統領「トルーマン」はわれらは船渠工場および交通施設を破壊すべしと言ひをるも、本件爆弾は落下傘を付して投下せられ空中において炸裂し極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以つてこれによる攻撃の効果を右の如き特定目標に限定することは技術的に全然不可能なこと明瞭にして右の如き本件爆弾の性能については米国側においてもすでに承知してをるところなり、また実際の被害状況に徴するも被害地域は広範囲にわたり右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問はず、すべて爆風および輻射熱により無差別に殺傷せられその被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況より見るも未だ見ざる惨虐なるものと言ふべきなり、

抑々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること及び不必要の苦痛を与ふべき兵器、投射物其他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約附属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三條(ホ)号に明定せらるるところなり、

米国政府は今次世界の戦乱勃発以来再三にわたり毒ガス乃至その他の非人道的戦争方法の使用は文明社会の与論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において従来かかる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器を遙かに凌駕しをれり、

米国は国際法および人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り多数の老幼婦女子を殺傷し神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊または焼失せしめたり、

而していまや新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪悪なり帝国政府はここに自からの名において、かつまた全人類および文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す

この後、日本政府は広島・長崎に投下されたのが核爆弾だということを何とかして隠そうとしたかったものの、規制を掛けることはできないとして報道規制を解除する。その後11・12日に掛けて各新聞社が広島に派遣した特派員によって、日本全土で使用された爆弾が核爆弾であることが明らかになるのであった。その後、日本は急激に戦意を喪失していくことになり、広島原爆投下から9日の8月15日に、無条件降伏するのであった。